協会誌 vol.28-29より

2019年 揺るがない自分、柔軟な心と体づくり

大地に立ち、自然を感じて生きる

サウンドヒーリング協会理事長 喜田 圭一郎
心の声を聞いて創める

私は小さな会社(HealingVibration.inc)を1993年に設立し、自分の心の声を聞きながら翌年から事業をスタートアップし、数多くの方々の支えのお陰で25年間、初心一徹、今まで続けて来れました。
ヒーリング(Healing)という言葉は当時知っている人はまだ少なく、雑誌の取材などで「ヒーリングとはどういう意味ですか」と聞かれる事もありました。
ある化粧品メーカーがその「ヒーリング」をコンセプトにした美容の製品(キオラqiora)を開発し、欧米の数多くの本を翻訳された上野圭一先生(日本ホリスティック医学名誉顧問)と私が講師として招かれ、そのご縁から沢山の事を上野先生にご教授頂いたことは感謝にたえません。上野先生からヒーリング(Healing)の語源は全体(Whole)であり、健康(Health)はHealingのingがthになった言葉であり、同じ語源だと伺い、ヒーリング(Healing)とは人の内面も含めた全体を見る視点で健康を促す言葉だと理解しました。
音の癒しの店舗やCDのレーベル名をHealing Garden(ヒーリングガーデン) 、プラネタリウムのコンサートをStarLight Healing(スターライトヒーリング)、体感音響の道具をHealing Vibration(ヒーリングバイブレーション)とヒーリングのためのオトづくり、コトづくり、モノづくりを行いました。
まだヒーリング(癒し)が認知されていない時代にもかかわらず、驚いたことに「週間金曜日」という雑誌社の方が、「癒しの時代の向こう側」という特集をしたいと取材に来られ、そのお陰で「何のためにこの事業を行っている」のか、そして「癒しは目的ではなく、人が自分らしく輝いて生きる」手段である、と改めて頭を整理することができました。癒しの時代の向こう側には「自分を信じ、健康で豊かに、生き生きとWell-Beingに生きる人が増えている」それを事業にすると再確認したのでした。しかしそう簡単ではありませんでした。

音の力によって人間の可能性を引き出す

様々な困難がある中、上野先生のご紹介で親交を深めたニューヨークのコーネル大学医学部統合医療ミッチェル・ゲイナー博士の奨めで、私の個人の会社とは別に誰でも活動に参加でき、社会に「音の力によって人間の可能性を引き出す」理念を啓蒙する新しい組織をつくることとなり、2001年にサウンドヒーリング協会を設立しました。
聖路加国際病院の故日野原重明先生から音楽療法の基本を学ぶ機会を頂いた私にとって、音楽による治療や療法は私の分野ではない。音の力を活かして心身に潜在する回復力、可能性を高め引き出す活動の名称として命名したのがサウンド(音による)ヒーリング(自発的治癒)でした。病気が一時良くなっても不安を感じている人もおられ、一人一人が自立することの大切さも念頭にありました。与えられるのではなく、自分の中から力を発揮するには?・・を模索してのことでした。
今ではヒーリング(Healing)という言葉も一般用語化して多くの人が“癒し系”や“癒されたい”という言葉を使って、癒しを行う人を主体においた言葉として使われていますが、ゲイナー博士から学んだサウンドヒーリングは「音が癒す」のでも「音を扱う人が癒す」のでもありません。癒しの力を発揮する主役はそれを受ける側(クライエント)の心身に内在する生命の力です。一時のことではなく意識下で常に体の中で働き続けている癒しの力を意識し、発動し、それを援助する為の道具やその時間や空間がサウンドヒーリングでした。

サウンドヒーリング協会

そして「音によるヒーリングを通して自分を信じて積極的に生きる人づくり」をする事を目標としてサウンドヒーリング協会の活動を始めました。ここからヒトづくりが始まりました。人を育成する研修カリキュラムづくりの基礎を大学教育の専門である野崎康明先生(同志社女子大学)や杉本英夫先生(新潟大学)に教えて頂きました。人づくり研修の3本柱は「音の理論、心身をケアする実技法、そして人間性を高める理論とそのメソッド」でした。ヒーリングのメソッドや技術だけでは不十分と考え、人に言葉で説明する為のサウンドヒーリングの理論、言葉にした事を実際に行う実技法、そして理論や技術があってもその人に魅力がなければ人は集まらないと考え、自分の精神性を高める為のロベルト・アサジョリ博士の心理学(精神統合)+ウエルネス理論を用い、実技の時間そのものを自分の内面を高める時間と位置づけました。その為、実技は呼吸法を基礎に置き、私が中学生時代から実践している手当(気功法)とプラスの言葉を使う音の実技法としました。この実技法は自分の心を安定させ、多くの人にサウンドヒーリング実技を続けても自分が疲れない方法として私自身が実践した結果から生まれたものでした。

日本から発信するサウンドヒーリング

この3本柱を主軸にした研修は日本と米国で現在定期開催していますが、違いはテキストの言語だけで、内容は全く同じです。今は多くのヒーリングの道具やメソッドが欧米から日本にやってきていますが、日本発で欧米に発信しているのはREIKIと私たちのサウンドヒーリングしかないのではと思います。
米国で研修を受講される方々やホリスティッククルーズなどで日本からのサウンドヒーリングに興味を持つ米国人の方々は音の事だけでなく、日本に興味を持っている方が多いのに驚かされます。
言葉が十分に伝わらなくても、日本のセラピスト達を見て、その優しい笑顔や内面の静けさ、品格を感じて喜んで頂けるのは、私たち日本人の自信につながるものです。中にはアメリカはまだ建国240年位だけど、2000年以上の歴史のある国、日本で生まれたサウンドヒーリングをもっと知りたいと言う方もおられます。人と人が対立する事が多くなり、病気が増えている現代を生きていく精神的支柱を求めているようにも感じました。
ヒーリングの技法にとどまっている西洋のヒーリングとは違う何か奥深さがあると、様々なメソッドを学んだ方から高い評価をいただく事は大変ありがたい事でした。そしてこの評価は私にとって多くの気づきを頂き、私自身の「襟を正す」きっかけになりました。

和の精神

メソッドや道具を普及するのではなく、先ず自分の心を調和する、日本の「和の精神」を音の力を借りて養う、それを広めることが大切だと気づきました。その為には和の心を養うサウンドヒーリングの精神をわかりやすく実践し、深め高める「指針集」のようなものを、今の時代にあった言葉として、まとめていく必要があります。
何があっても「揺るがない自分をつくり、柔軟な心と体をつくる」指針集です。そして全てと「調和する心の力」を養う指針集です。それは癒しの技法ではなく自分を動かす「生命の力」を信じ、積極的に心の力を発揮し、周りの人や自然と調和して生きる、その結果として健康になり、喜び多い人生の為の精神的支柱になるものです。自分が変わらなければ、どんなにヒーリングや治療を受けても、また元に戻ってしまう人も見てきました。それを伝えるむずかし さも感じてきました。病気を治そうとすると、むしろ病気に力を注いでしまうとアンドルー・ワイル博士の書籍「癒す心、治る力」からも大いに学び、経験しました。
そしてサウンドヒーリングによる「和の精神」が体にもたらすものは、自律神経のバランスが回復し、血液循環が改善、良く眠れる、血液中セロトニンが増え心の安定が得られるなど、健康な状態に自発的にシフトすることは確かです。それは実験によっても確かめられていました。

これからの時代に必要なもの

現代社会は医学の進歩により寿命は延びましたが、アレルギーや自己免疫疾患など新しい病気も増え、生活スタイルそのものが病気の要因をつくっている事が明らかになっています。また自然災害が脅威になり、様々なことが想定通りには行かなくなり、未来を予想しにくい昨今において、一人一人が「自分の内なる力を発揮し、自分を良い方向に変革させる心を養う」を目指すサウンドヒーリングを進めたいと考えています。
サウンドヒーリングの指導者としてヒトづくりに取り組もうとする人たちが増えている今、この指針集「指導要項」をまとめ、皆と力を合わせて一歩ずつでも社会に貢献したいと考えています。多くの先輩諸氏にも意見を頂きながら進めていきます。

なぜ音の力か?

しかし何故、音の力で、単なる「癒し」を越え、人づくりを・・と思うのか、その糸口を少しお伝えします。人は生まれた時から自分が体験した事を記憶に刻み、その蓄積された記憶を基に、自分はこんな人、と自分を認識し、自身で限界をつくり、自分が思い込んだ通りの現実を創造している、と私は思うのです。私たちは過去の記憶の影響を受けて「今」を生きているのはないでしょうか。
音は記憶と関係し、時間の流れの中で空間に広がり心身に到達し、音を聞いている「今」を心に記憶します。音は記憶と深い結びつきがあることをプラスに活かす、ここがポイントです。サウンドヒーリング協会が推進する音(自然音、体感音響、呼吸と声)は感情に働きかけるより、体と心に心地よいと感じる音を意図しています。倍音、幅広い周波数、1/fを含んでいます。体に快い音の記憶が積み重なる事で、ネガティブな記憶は徐々に快適な記憶に淘汰され、マイナスと見える出来事が起きても、前ほど大きな問題と捉えず、穏やかな心で、より明るい未来を想像できるようになっていきます。研修で学んだ実技法の呼吸と言葉を生活の中で実践するとその効果は加速します。
心地よい音の記憶が積み重なると、その影響で思考が明るくなる。その結果、体の治癒システムにスイッチが入り、より健やかな心身に変化する。これが25年間、私がサウンドヒーリングを通して、人の変化を見て感じる事です。また面白いことに、人にサウンドヒーリング実技を行うほど、セラピスト自身も健やかな心身に変化し、心が明るくなり自分の可能性を信じ、幸せを切り拓く「勇気と意志」が養われる事を実感します。

地球の自然のつながり

当協会理事の西條一止先生(筑波技術大学名誉教授)は「大地に立ち、自然と共に生きる」をモットーに、それを実践し「身体の治る仕組み、自然の仕組み」を基に自然鍼灸学を長年啓蒙されています。大地は地球、地球は自転し振動し、生きているように常に変化しています。また地上の自然も太陽と月の光を浴び、常に変化し柔軟にしたたかに生命の力を輝かせています。今の時代人間は大地と自然が無言で与えてくれている力をしっかり受け取り、自然に心を向けて生きることが必要になったと思います。

2019年サウンドヒーリングを実践する私たちは「大地に立ち、自然を感じて生きる」をモットーに、地球とのつながり、自然との交流を深めて、揺るがない自分、柔軟な心と体づくりをしていきましょう。
当協会の中村泰治会長(昭和大学名誉教授)は今93歳でありながら積極的な心をいつも発動し、真理を追究し健やかに日々を過ごされています。私たちも、先輩諸氏に続き、健やかな一年を創造していきましょう。

協会誌vol.30-31

サウンドヒーリング協会の協会誌2020年版(vol.30-31)が発行されました。

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