効果と事例
昨今、「おとや音楽」と振動が、ひとのこころと身体に対して、どのように影響するか科学的にそして、医学的角度から根拠を求める作業が始まって久しいと思います。私自身も、医療法人において、中途障害者のリハビリテーションの現場でサウンドヒーリングを活用し続けて6年過ごしました。その間、多くの患者様に対し、理学療法士や作業療法士と共に実践してきました。片麻痺などで筋緊張の高い患者様、神経痛、リュウマチ、便秘症の方、失語症、高血圧症、糖尿病など様々な疾病の方々と向き合い、効果を実感してきました。 今、発達障碍の子ども達と向き合う療育の場に身を置き、サウンドヒーリングで、何が可能か探求しているところです。
療育の場において対象となるのは、1歳から就学前の子ども53名とその保護者。そして、ハードな療育という職に生きがいを感じている保育士10名と、児童指導員、看護師、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士等の専門スタッフ9名。サウンドヒーリング活用の長期目標は、療育の場が過ごしやすく、心と身体が健やかでいられる環境作りの有効なタームとし、短期目標を(1)保護者の心労及び不安な気持ちに寄り添い、リラクセーションの時間を確保する(2)スタッフの日々の活動での疲れを癒し、腰痛、膝痛の予防と解消(3)肢体不自由の障碍児への適用を考えるとしてスタートしました。
サウンドヒーリングの活用は、(1)ヒーリング協会製作CDの目的に適応した使用と、(2)サウンドバイブレーションの有効性の確認の二面から実施しています。
開所2008年6月より、毎朝スタッフの勤務開始から、子どもと保護者の登園までの時間「スターライト」を全館に使用。天候や人数により、音量に気をつけ保育室から聴こえる場合と共有スペースから聴こえる場合、双方からの影響を使い分けて、子どもの行動の違いを確認中です。昼食時とお昼のリラックスタイムでは、ハープの音色を楽しみ、帰宅前30分からは「海より遠く」を使用しています。月に2~3回のアロマバスでのリラクセーション・タイムでは、子どもはお湯遊びを行い、保護者は手の平マッサージを実施し、そこでは「アメージング・ブルー」を使用しています。
「音薬」でのバイブレーションは、スタッフに対する施術を実施し、少しずつ保護者へと広げています。障碍児への適用は、保護者の納得と説得がなければ実践に至りません。特に感覚過敏な自閉傾向の子どもやシャントの入っている子どもなどへの影響が、使用に至るまでの課題をいくつか解消しなければならないところです。
サウンドヒーリングのCDに関しては、時間的認知を助け、自閉傾向の子どもには聴覚からの信号として有効であると思われます。先の見通しの立ちにくい子どもにとって、安心できるサウンドでこれから起きようとしている時間的変化や行動プログラムの組み替えにパニックを起こすことなく適応するチャンスを与えることに成功していると言えます。また、不安や不眠などの心身共に疲労感の消えない、さらに、精神疾患を持つ保護者に対しては、ゆったりとした環境作りにより、笑顔が増え、腕組をして子どもの様子を見ている傍観保護者から、一緒に遊べる関わりの持てる親に変身が確認できています。
バイブレーションに関しては、この凄まじいまでの忙しい療育の勉場において、時間を確保すること、対一での施術であるための問題点があるため、勤務時間内では難しく少しずつの作業ではありますが、スタッフにとっては、ひと時の癒しの時間となっています。子どもを抱き上げる、サーキットを組むなど思いのほか力仕事の多い、そして、危険回避など神経の細やかさが必要とされる重労働を強いられているスタッフにとって、バイブレーションでの弛緩は、最高の癒しとなっています。保護者の中、統合失調症、うつ病、境界線人格障害などの疾患と付き合って過ごされていらっしゃる方にも浸透し始め、「ああ気持ちよかった」「何だか解らないけど、すっきりした」「くよくよしても始まらないよね」など、想像以上の好感触です。保護者の理解を得た上で、子どもへの適用を検討して行きたいと考えています。
おとや音楽、そしてそれに伴う振動は、人の心や身体に影響を及ぼし、行動をも変化させることは既に明確にされています。さらに、どうして、どのようにという所で数々の研究が成され、論文発表がされています。聴覚刺激の運動神経系への影響は、M.H.タウト氏のもと、コロラド州立大学で学び、運動つまり、食べる話す歩行するから、呼吸する内蔵機能の維持つまり生命の源に影響していることを実感しています。それに振動を伴うことでは、現在、多摩リハビリテーション学院ライフサイエンス研究室においては、fNIRSによって脳内の反応を確認しております。脳の血流オキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビンの変化を追って行くことにより、脳の活性部位と、ドーパミン、ノルアドレナリン、ドーパミンの分泌の関連性を有田氏、久保田氏の文献を基に定義付けできればと思っています。
また、現実サウンドヒーリングの子どもへの適用については、今後の課題として慎重に進めて行きたいと思っています。今後もよろしくご指導下さい。
音楽や言葉は二つの種類を同時に聞くと不快になりますが、自然の音は他のどんな音とも調和し、テレビ、ラジオから流れる他の音ともミックスして聞くことができます。さりげなくて流れていることを忘れてしまう位ですが、私たちの潜在意識の脳はしっかりとその音を聞いています。私たちの生命を維持している恒常性(体温、血圧、免疫、循環など)は自分の意志の影響を受けない潜在意識下でいつも働いています。自然の音はこの生命の基礎力を維持する潜在意識に働きかけます。
また前回ご紹介した小型体感音響のクッションを腰、背骨、首、肩、足の裏など、体のポイントに当てダイレクトに体の中に音の振動を伝えることで、より短い時間で、体液のバランスや自律神経のバランスをとり、血液(特に静脈)やリンパの流れを改善することができます。足の先の温度などサーモグラフィーで計ると一〇分間で約三度近くも温度が上昇します。
この小型体感音響をがん治療の副作用の軽減や9/11同時多発テロの後遺症に使い、医療の効果を上げている米国のがん治療の名医ミッチェル・ゲイナー博士は「人間の体には過去のトラウマや過去に抱いた否定的な想念や感情がすべて刻みこまれている。」と述べています。体の水にその過去の情報が刻みこまれているならば、調和の響きの振動が体の水の情報を新しく書き直し、本来の美しい健康な体に自らの力で戻すことに貢献できることは明白です。
神経学者のキャンディス・パート博士は心と免疫とのコミュニケーション役を果たしている「感情の化学物質」ニューロペプチドを発見し、心と体は二つに分けられない一つのものであることを実証しつつあります。体に音を響かせ、体で音を聞くことが、心にも同じ情報を伝えていることになるわけですね。
体の外側の環境である室内の快適環境づくりには屋久島の自然音のような自然のゆらぎに満ちた音を空気清浄器のような感覚で流し続けることをお奨めします。場を整え、一緒に生きる植物、ペット、微生物も聞いているでしょう。
また体の中の環境づくりには体感音響を使うことでより効果をあげることができます。体の細胞の水や体内の微生物も一緒に聞いています。体内の水の記憶も日々あたらしく書き換えられていくことでしょう。
健やかな心と体づくりに、また快適な室内環境づくりにどうぞより本質に近い音をお試しください。明るい未来がその環境から生まれていくことでしょう。