音楽の本質を学ぶ(1)

「Think of the power that’s in the Universe・・・moving the earth・・・
growing the trees. And that’s the same power within you!
If you’ll only have the courage and the will to use it.」
宇宙にある力が、地球を動かし、木を育てる。君の中にある力と同じだ。
さあその力を使う勇気と意志を持つんだ。
From motion picture LIME LIGHT

古代から未来へ〜サウンドヒーリング

サウンドヒーリング協会 理事長 喜田圭一郎

これはイギリス出身の映画作家であり映画スターの、チャールズ・チャップリンが映画「ライムライト」の中で、歩けないと思い込んでいる若きバレーリーナーに言う言葉です。チャップリンはこの映画の原作、脚本、制作、監督を担当し、老道化師役の主演男優であり、おまけにこの映画の音楽の作曲まで担当しています。映画の中の美しいメロデイーが印象深く心に残っている方も沢山おられることでしょう。チャップリンはまだ無名のころ、音楽を懸命に追求し楽器の練習をしていたそうです。ヴァイオリンとピアノを演奏し、20才のとき演劇の一員としてフランスに興行した折り偶然ドビュッシーの前で演奏し、その演技と演奏がドビュッシーの目に止まったという逸話もあるくらいです。映画「モダンタイムズ」の音楽「スマイル」もチャップリンの作曲です。後に歌詞がつけられ、ナットキング・コール、マイケル・ジャクソンン、エルビス・コステロなどに歌われ、名曲として世界の人々の心に残っている音楽です。彼の音楽は共通して何か希望を感じ、やさしく、心が暖かくなる感じがします。
 チャップリンは大の日本びいきであり、有名なステッキは日本製、秘書や運転手また料理人も日本人を雇っていました。日本にも何度か滞在し、天皇家にもその折り挨拶に伺っているといわれています。
「ライムライト」を発表した1952年チャップリンは米国政府から反戦と赤狩りのために国外追放を受けることになるのですが、彼は生涯を通じて世界の平和と大きな愛そして人間の本質を追求した人でした。

「ライムライト」の中で語られるこの言葉にもその片鱗を窺うことができます。そしてこのチャップリンの言う、宇宙にある力、地球が自転しながら太陽の回りを公転する力、そして地球のあらゆる生命が生きる力はどこからくるのか、21世紀の様々な分野の科学(生命科学、分子生物学、量子物理学、宇宙科学、深層心理学、統合医学、他)がそれを追求し始めようとしています。また様々な生命を育んでいるこの地球そのものがひとつの生命体ではないかと唱える科学者も現れています。その地球は宇宙空間を時速約1,700km(赤道付近)で自転しながら、太陽から1億5,000万kmの距離を時速107,000kmのスピードで飛び続けています。そして私たちの太陽系そのものが時速792,000kmのスピードで銀河系の中を公転しています。止まっているように感じる大地が高速のスピードで回転しながら宇宙空間を運行しているわけですね。そして地球から見える、惑星も恒星もすべて止まっているものは何ひとつなく全てのものが動き、回転し続けています。私たちの身体をつくっている細胞も分子、原子レベルまで小さくみると宇宙と同じように原子核の回りを電子が回り続けています。

紀元前500年頃の古代ギリシアのピタゴラスは、天体のそれぞれの惑星は回転しながら固有の音を発している、そして太陽系全体が音楽を奏でている・・「天球の音楽」という概念をもっていた科学者です。天体も原子もその運動とリズムと振動によって特定の音を発している。それら全ての音と振動が宇宙の調和をつくりだし、独自のはたらきと性質をもち、それぞれの要素が全体に貢献している、と考えていました。思想家であり数学者のピタゴラスは宇宙は数的な調和に満ちているという信念をもっていました。そして幾何学、天文学、数論と並んで音楽は宇宙の本質を知る最も重要な学問であり、音楽と科学は同じ起源として、音楽とは数であり同時に宇宙は音楽だと考えていました。
そしてピタゴラスは音楽を3つの種類に分けていました。1つはハープやフルートなどの楽器を使って演奏する「器楽の音楽」、2つ目は人間の器官や細胞が発している音楽であり、特に心とからだの関係が調和して共鳴しあって発する「人間の音楽」、最後が宇宙そのもの、星々が発する「宇宙の音楽」の3つです。この3種類に分けられた音楽は本質的にはまったく同一のものであると考えていました。
ピタゴラスの考える音楽は法則が最も重要でした。耳で聞いて知覚できる音楽だけでなく、宇宙の全領域に満ちている音楽だからこそ法則を大切にしたのでしょう。そしてピタゴラスは音楽を癒しの技法として組織的にもちいた最初の人だと言われています。心の澄んだ音楽家による「器楽の音楽」により、音という媒体を通して、宇宙に満ちる調和の響きの「宇宙の音楽」を再現し、心とからだに伝え、不調和な心や体を音の共鳴現象を使って、「人間の音楽」を調和の響きに導くと考えていたのでしょう。そして病気を治す治療薬としての使い方だけでなく、音楽の響きにより人の心が宇宙の音楽と調和し、そのことが人の心の成長のために大変重要な意味を持つと考えていたようです。また音楽の力により人の魂や心の深い部分に働きかけることができる、音楽の正しい働きかけが内面的に、深くより大きな人間に成長するために役立つと考えていたのでしょう。ギリシアの伝説には音楽の力に関する逸話が数多く残っています。

またピタゴラスたちは夜、眠りにつく前に、音楽で自分たちの心を浄めたといわれています。日常の活動で心に不快な言葉や思いが詰まっており、心を浄めてから休むと、やすらかな眠りが得られ、心もからだも健やかになる、心にわだかまった記憶を音楽が内側から消し去っていくと考えていました。そして朝起きたときには、その一日の幸運を祈り、気力を満たす歌も歌っていたそうです。声を出すことは自分の体を楽器にすることでした。宇宙に心を澄ませ、歌うことで心と体に音の振動を満たし、宇宙にある音楽の秩序や法則を地上の体と心に再現することでした。ピタゴラスの考える音楽とは「体」を活かす毎日の食事のように、生きていく上で欠かすことのできない「心」と「魂」の生命のエッセンスのようなものだったのでしょう。またピタゴラスは現代でも使われている7音階(ドレミファソラシ)を作った人でもあります。
このようなピタゴラスの宇宙と音楽に関する概念はプラトンの哲学に受け継がれ地中海全域に広まり、中世のケプラーに受け継がれ、ケプラーの音楽的宇宙に関する最高の学術的著作といわれる「世界の調和」で更にヨーロッパの近代科学に引き継がれていきます。そして産業革命が起こる19世紀末までは音楽の法則と宇宙の法則が同じであるという考えは科学の中の常識でありました。もちろんその当時の科学は現代のように国や企業の下ですぐれた製品をだしたり戦争の道具をつくる科学ではありませんでした。純粋に知的で観念的な調和への追求であり、宇宙を解明する鍵でもありました。そして人間をの本質を知ろうとする人々の役に立つことでした。
1977年NASAが打ち上げた惑星探査機ボイジャー1号や2号は木星、土星、天王星など太陽系を探査し、現在も2号は太陽系の境界線領域(ヘリオポーズ)を目指して飛行を続けています。このボイジャーやパイオニアなど惑星探査機から送られてくるデーターを私たちの耳で聞くことのできる可聴帯域(20Hz〜20000Hz)の音波に変え、現在ではインターネットやCDで音として聞くことができるようになっています。ピタゴラスの言った「宇宙の音楽」を現代の科学が五感に感じる音として再現する時代になってきた訳ですね。もっともギリシア時代の人々には、心を澄ませ、意識を集中することで「宇宙の音楽」が心の耳に届いていたのかも知れません。

日本のロケット開発の先駆者である糸川英夫博士はチェロの演奏を趣味にしていました。チェロを演奏すると音の振動が心地よく体に響きます。宮沢賢治の童話「セロ弾きのゴーシュ」にあるチェロの体感音響振動の治癒効果を利用した新しい製品の開発が糸川博士の発案で始まり、音響機器メーカーのパイオニアがその開発に力を入れました。このページの著者である私自身もその仕事にたずさわり、体感音響の魅力に引き込まれた1人です。約70%が水分の私たちの体は音が伝わり易く、音が共鳴しやすい優れた楽器といえます。チェロの音で心地よく感じる低い周波数(約200Hz以下)の音は体で感じやすく、心の深い部分に届き又体の緊張を緩める効果があります。体の中に入った音は秒速1,500mの早さの波として細胞一つ一つに細かな波紋を広げ、体の中を伝わっていきます。心地よい上質な細胞レベルのマッサージといえるでしょう。血液の循環やリンパ液の流れがよくなり、体に備わった本来の自己治癒力を高めることができます。音楽を耳から聞き、同じ音楽の響きを体で感じながらゆっくり呼吸をしていると、短時間でも心と体が喜び胎児のときの記憶が蘇ってくるような感じがあります。 この体感音響(サウンドヒーリング)システムは現在9・11同時多発テロの後遺症(PTSD)やガン治療の副作用の軽減に効果を発揮し、ニュヨークの病院やSPAなどで補完代替医療の道具として活躍しています。心を穏やかにし、健やかに21世紀を生きるための新しいタイプの心と体と魂を調和するチューニング道具になっていくことでしょう。
このサウンドヒーリングシステムのような道具が更に進化するためにも、また、スローライフやLOHASなライフスタルが叫ばれている時代だからこそ、ギリシア時代の哲学者たちが考えていた「音楽の本質」を今こそ見直す時期にきているのではないでしょうか。

各種 開催日程

ファシリテーター資格認定研修会
第61期
2017年6月9日(金)~11日(日)/ 計3日間
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セラピスト資格認定研修会
第26期
前半4日間4月27日(木)~30日(日)
後半3日間5月26日(金)~28日(日)
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Resonanceワークショップ
第82回1月25日(水)
第83回2月22日(水)
第84回3月29日(水)
第85回4月19日(水)
第86回5月24日(水)
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6th Sound Healing Basic One
Training Certification in USA
(Arizona / Mind Body Medicine Center)

October 12th-14th 3days
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